被爆・戦後80年

ノーベル平和賞の受賞決定から一年、次世代への継承をテーマに被団協がイベントを開催

日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞決定から1年となる10月11日、「核なき世界」を訴えるシンポジウム「核兵器も戦争もない世界を求めて~記憶を受け継ぎ未来へ~」が開催された。

同イベントは日本被団協など約30団体によって組織された実行委員会が主催した。

冒頭では、ノルウェー・オスロで2024年12月に行われた授賞式に参加した被爆者らの様子を収めたオープニング映像が上映された。

日本被団協の浜住治郎事務局長は「核廃絶も国の原爆被害への償いも道半ば。皆さまとどのように進めるか考えていきたい」と述べ、被団協の発足からノーベル平和賞受賞までの被団協の運動のあゆみが紹介された。運動の内容は、1955年に広島で開催された原水爆禁止世界大会から始まり、受忍政策を乗り越えるための「基本要求」の策定、現在まで続く核兵器廃絶への取り組みが紹介された。

続いて、「継承」をテーマに被団協の運動とこれからの未来を語り合う朗読劇「そこに声があれば〜今、未来に〜」が披露され、最後に参加団体によるリレートークが開催された。

リレートークは10の参加団体により、「記憶を受け継ぎ未来へ」をテーマとした。

 一般社団法人かたわらの高橋氏は「被爆者の記憶を世界に残していくことは出来る。他者を重んじる事を学び直す必要がある」と語った。

ピースポートの吉岡氏は、海外で原爆被害の写真展を行った際に「こんなふうにならないために核兵器を持たなければ」と言われた経験から、「どんな人間であれ、このような悲劇的な体験を作り出す事がダメなのだと、それを身を持って体験談を話していただけるのが被爆証言だ。世界にこの証言の価値を理解しなければ核兵器はなくならない。世界中に証言を届けていきたい。その本質を次世代に繋げていく事を、私たちがやっていかなければならないと考えている」と語った。

また、全国空襲被害者連絡協議会の黒岩氏は、空襲被害者救済法について言及し、(日米開戦の節目の)12月8日までに成立させたいと意気込みを語った。「戦争という非常事態のもとで生じた被害は国民が等しく受忍しなければならないという受忍論を克服するため画家と遺族、被爆者や戦争被害の犠牲者とともに努力したい」と訴えた。

日本生活協同組合連合会、近藤氏は、毎年開催している平和活動、ピースアクション inヒロシマナガサキに触れ、被爆戦後80年となった今年は、参加者が5000人となったことを報告。「平和活動に取り組む皆様と協力しながら次世代への継承を行っていきたい。また被爆者から資料を譲り受け公開する取り組みを行なっている」と述べた。

イベントではホールでも展示・体験企画が開催された。

日本生協連からは、全国21の生協が地域の子供達と取り組んだ「子ども平和新聞プロジェクト」の展示が行われた。新聞の作成には小学生〜中学生の学生が参加し、戦時下の暮らしの研究、被爆者からの講和、地域の戦争被害状況の調査といった様々な視点から平和学習を行い、新聞の形にまとめ発表された。

中には「わたしの平和宣言」を作成し新聞に掲載した子どもたちもいた。

 また、一般社団法人かたわらの「平和への船出」をイメージしたメッセージボードには、イベント参加者から平和へのメッセージが記入され、賑わいを見せていた。

東京大学大学院渡邉英徳研究室のブースでは、ウクライナとガザの被害のあった建物の映像から作成された「戦災VR」の体験を行っていた。また、被曝証言などのデジタル化の先駆けとなった「ヒロシマ・アーカイブ」「ナガサキ・アーカイブ」の展示も行われた。